春を告げる「ホーホケキョ」といえばウグイス(Japanese nightingale)です。いつもこのように鳴いているわけではありません。春にオスがメスに向けて自分をアピールすると同時に他のオスに向けて縄張りを主張するために鳴いているのです。鳴き声は聴くけど姿は見えない、ベールに包まれた春を告げる鳥をイメージしてYassuキューピーが衣装を製作しました。
衣装デザイン
うぐいすの項目で書いていますが、ウグイスは決して美しいといえるような羽の色ではありませんが、春を告げる美しい鳴き声のイメージを壊さないようにきれいな黄色から黄緑色の素材を使いました。1月に待ちに待った春を宣言するかのように花を咲かせる梅についで、2月から咲き乱れる黄色の菜の花、3月には薄黄緑色の木々の芽吹きをイメージしています。ウグイスが人に姿を見せない神秘性をレース生地で表現しています。
うぐいす
繁殖期を迎えた多くのオス鳥は、メス鳥を獲得するためのアピール方法としてダンスを踊ったり、美しい羽根を広げて見せたりと外見に特化しています。そんな中で姿を見せずにメス鳥を獲得しようとするウグイスは珍しい存在です。ウグイスはメス鳥の獲得方法として美しい声に磨きをかけ、外見に特化しない進化を選んだのですね。この美しい声のために乱獲され、数を減らしていました。現在は、愛玩飼養制度により野鳥の捕獲・飼育は禁止されているので許可なくウグイスを飼育することはできません。以前、家族で訪れた大阪箕面の食事処では、家族の話声が聞き取り難いほどウグイスの声が大きいことがありました。亭主に音量を落してくださいとお願いすると部屋の隅の障子を開け二羽のウグイスを見せてくださいました。本物です(凄いけどうるさい位鳴いてくれました)。
ウグイスの声の次に思い浮かぶのがウグイス餅です(いつも食べるものに結びついてしまう悪い癖です。)。ウグイス餅の色は、きれいな黄緑色をイメージしますが、ウグイスはさほど美しい色の鳥ではありません。背中がオリーブ色(きな粉のような色と言った方が近いかもしれません)、おなかが白い地味な鳥です(メジロと間違えている場合も多いですね)。きれいな黄色から緑系の色のウグイスのイメージは、日本の花札の絵柄の影響かもしれませんね。赤い梅の花を背景に黄色から緑系の色のウグイスが印刷された札です。でもウグイスが鳴くのは3月以降、梅の開花は1・2月ですから花札の絵柄も春に対する期待をイメージしているようです。
型紙
スカートは黄色のサテン生地の8枚はぎにしています。オーバースカートは、ラメ入りのオーガンジーを4枚はぎにして羽の艶を演出しました。トップスは緑色のサテンに黄色のレースを重ねています。靴は花形の飾りをつけたドレスシューズを合わせました。
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