以前、キューピーは長袖の洋服の袖口の出来栄えに満足していないとお伝えしました。長袖の型紙を考える場合、身頃と縫い合わせてひと続きの作品になるので袖を単独で考えてはいけないものでしたが、ある程度の満足が得られる方法を採用することで決着していました。今回はキューピーの特殊体型にスポットを当て、型紙につてしっかり考えることにしました。
キューピーの特殊体型
キューピーの体型の特徴をリストアップしました。
①ポッコリしたお腹周りです。メタボと言われても反論できません。②首がありません。③背中に翼があります。④「ハグ」の準備をしているかのように両手を広げたポーズをとっています。⑤ショルダーポイント(肩)は、胴体側から見たショルダーポイントと腕側から見たショルダーポイントの2通りが考えられます。
⑥手指が「パー」をしています。⑦足の甲がぷっくり大きいです。⑧前腕手が腕の付け根と手首を結んだ線より出っ張っています。
キューピーの特殊体型への対応策1
これまでキューピーの特殊体型に対して問題が生じたとき、個別にその場しのぎの対応しかしていなかったのです。過去に原型について記載していましたが初心に戻ります。身頃の型紙(原型)に関与する要素は①腹部、③翼、⑤肩(ショルダーポイント)です。①腹部は前身頃の中心を下げることで一応解決しています。⑤肩(ショルダーポイント) と④「ハグ」腕に関しては、袖問題で腕側から見たショルダーポイントを採用しすることで一応解決しています。今回は、一応解決した結果を踏まえて③翼の処理方法について再考しました。
翼のダーツをどうしよう
③の翼は肩の直下に5㎜のダーツを取ると翼がきれいに収まり、後身頃のセンターネックポイントがきれいに体に添います。しかしながら、キューピーは、この位置のダーツが好みではありません。そこで翼のダーツに対処する原型の書き方を A.翼のダーツを採用は避けて、B.ダーツをウェストに移動する、C.ダーツを身頃に吸収させる、D.ダーツを身頃のゆとりとする方法について考えました。翼は後身頃にあるので前身頃は共通です。
Aの翼のダーツ部分の中心で型紙を♡☆♢の3つに切り分けました。Bは♡パーツをダーツの中心点からネックライン上で1.0㎜広げ、♢パーツを袖周りで1.5㎜広げました。♢パーツと☆パーツの裾の間は5.0㎜になりました。この5㎜はウェストのダーツになります。
Cは♡パーツをダーツの中心点からネックライン上で1.5㎜広げ、♢パーツを袖周りで1.5㎜広げました。♢パーツと☆パーツの裾の間は4.0㎜になりました。この4.0㎜はダーツではなく後中心と脇を各2㎜縮めることによってダーツ分を解消しました。
Dは♡パーツをダーツの中心点からネックライン上で1.5㎜広げ、♢パーツを袖周りで2.0㎜広げました。♢パーツと☆パーツの裾の間は2.0㎜になりダーツを解消しました。
Cダーツを吸収したモデル
袖なしのワンピースの形で型紙を再現しました。縫い代の厚みを少なくするため、リバティのローン生地を使って縫製しました。ウェストも袖ぐりもぴったりフィットしています。


胴長に見えちゃうのイヤだ
上の写真はウェストも袖ぐりもフィットしていますが、胴長で太っ腹に見えます。キューピーは、少しでもぷっくりお腹を細くかつ足を長く感じさせるようにして欲しいです。この原因は、お腹の一番太いところがウェスト位置になっていた上、縫い代が重なるので実際のウェスト周囲径より大きくなっていました。


ワンピースを製作するときには、この原型のウェストを5㎜上げる(身頃を5㎜短くする)とぷっくりお腹の強調を軽減させ、見えていない足を長く感じさせる効果があると思われます。
上の写真のスカートはどちらも長方形の型紙を使用しています。裾回りの長さとギャザーを寄せたウェスト部分の長さが同じです。キューピーのぷっくりお腹を細く見せたいという要望を叶えるなら


スカートは長方形ではなく台形状をカーブ(少し円形)させたスカートにするとウェスト部分のギャザー量を減らすことができます(下の写真の右側のキューピーが着ているワンピースです)。


台形状の底辺を長方形の型紙と同じ長さにすれば、スカートのふんわり感は保てます。三人三様のかわいさがあります。お気に入りが見つかれば下の型紙を使って作ってみてください。
型紙
型紙Cを使って製作したキューピーのワンピースです。こちらは定位置のウェストで、長方形スカートの場合。
こちらはウェスト位置を5㎜上げ、長方形スカートの場合。
こちらはウェスト位置を5㎜上げ、台形状をカーブ(少し円形)させたスカートの場合。
過去の原型
型紙を3分割(等分割)する方法について検討していました。肩傾斜を考慮していませんでした。
原型のための採寸