キューピーはママに色々洋服を作ってもらっています。こっそり要望を言わせてもらうと袖が嫌なのです(決して愚痴ではありません)。長袖の袖口をよく見てください。




袖口の上と下で長さが違うのです。パット見るだけならいいけれど、着ているとしっくりこないのです。
黒いドレスのような袖口にしてほしいのです。このドレスは肩に尖がりが付いているので袖の上の部分が持ち上がっているため一見袖口はきれいに見えます。その代わり、首から肩の部分が詰まっています。


キューピーの要望に応えるためにママが検討した結果をお教えします。それは、キューピーのかわいいポーズにあったのです。
キューピーのポース
多くのドールは腕を体側に添わせています(自由に腕を動かしてポーズをとらせることができるドールもいます)。人の通常のポーズと同じです(ドールは人をモデルに作られているためです)。
キューピーの両腕は体側に添わず左右に開いています。キューピーは人を模したドールではなく天使なのです。ママは、キューピーが愛を体で表現するために「ハグ」を準備しているポーズをとっていると考えています。ママもパパもこのみんな大好きと「ハグ」してくれるように見えるポーズがお気に入りです。


袖の型紙は、腕を体側に添わせたポーズに基づいて描かれています。ジャケットやコートを着ていて腕を上げると上腕にしわができますよね(つり革を持ったシーンを想像してください)。キューピーはこの状態が常態なのです。腕が体側に添ったポーズに基づいた型紙ではキューピーにぴったりこない袖に仕上がっても納得です。ママとキューピーは、そんな長袖の洋服に100%の満足感が得られていませんでした。
キューピーの「袖」の型紙
腕が体側に添わず左右に広げている袖の型紙を製作するにはショルダーポイントを低くすることにあると考えました。ショルダーポイントを低くした袖を試作しましたが、問題を解決することができませんでした。計算上、サイドネックポイントから袖口までの袖上の長さを41~42㎜、脇下から袖口までの袖下の長さを26~28㎜確保できると美しい袖口を形状を作り出すことができるのです。ショルダーポイントを低くするだけではこのサイズを担保できないのです。そこでキューピーのショルダーポイントの位置について検討しました。
結論は、ショルダーポイントと肩傾斜にありました。写真をアップにしてよく見るとキューピーの腕の付け根が肩より盛り上がっているのです。写真の青色線は身頃から見たショルダーポイントです。黄色い線は腕から見たショルダーポイントです。高さの差は1㎜あるかないかですが、この違いが美しい袖の形成に関与しているのです。でも、しっくりこないんです。ショルダーポイントと肩傾斜のことを考慮するとなると単に袖だけ考えてもダメなんじゃないのとパパからアドバイスがありました。う~~~ん。原点に返って原型を見直そうかな。
試作した袖
キューピーのママは、頭や技術より体力で勝負する派です。
現時点では、洋服を製作する布の種類によりますが、袖口下側を2㎜長くするとキューピーが理想とする袖口になることがわかりました。




横縞や布に厚みがあるものの場合はきれいに仕上がらない可能性が高いです。
袖全体を長くして袖口にギャザーを寄せる方法もありと思います。
パターンについて